パパイヤ、不老長寿の実

河浦花園 河浦輝雄さん

松崎の、長閑な田園風景に突如現れる南国の森。
夏から秋にかけて、どっしりとした太い幹に大きな葉がワサワサと茂り、細長い緑の実がたわわに実る。
ここは、有機栽培にこだわった花卉栽培農園を営む河浦輝雄さん(76)のパパイヤ畑だ。

丈夫で美しい高品質の花の栽培で、園芸業界では有名だった河浦花園だが、2016年より西伊豆で初めてパパイヤの露地栽培を始めた。
河浦さんのパパイヤ栽培は、パパイヤのハウス栽培をしている静岡県内の同業者から話を聞いたことがきっかけ。
温暖な松崎の気候と、自身が花のために開発した肥料を使えば、ハウス栽培ではなく露地でも栽培できるのではないか、というチャレンジでもあった。

パパイヤ栽培を始める数年前、河浦さんは野菜の栽培に挑戦していた。
花の肥料を使った蕪は、生でも甘い、奇跡の蕪として評判になった。
野菜を通して近所の人たちとも話が弾み、花よりもダイレクトな反応をもらえるという新たな発見もあった。
自分の持つ知識や技術を、松崎のためにもっと活かせないだろうか……そんな時に出会ったのがパパイヤだったのだ。

ある時、河浦さんはこんな夢を見たという。
パパイヤのジャングルの中を、松崎のこどもたちが駆け巡る夢だ。
この夢は、パパイヤ栽培1年目で叶うことになる。

5月に、特製のふかふかの土に植えた苗は、11月には高さ3メートル程に成長する。
パパイヤは、霜が降りると一晩で枯れてしまう。
南国のように実が熟すまでは育てられないが、秋に獲れる青いパパイヤは、魔法の果実だった。

木になる実から白い汁があふれ出している。収穫しているだけで、手がどんどん白く、艶を帯びてくるほどだ。
これは、洗顔料などにも使われている、青パパイヤの酵素の力である。
歯ごたえがある白いパパイヤの実は、生でサラダに、火を通してカレーや煮物にと、何にでも使える万能野菜だ。
酵素の力を活かして石鹸も作れるし、パパイヤの葉を使ったお茶は腸内環境を整えてくれる。
お風呂に入れれば肌はすべすべに。
河浦さんの奥さんは、パパイヤを食べ続けたら手足の冷えがすっかり治ったそうだ。

「青パパイヤを食べ、パパイヤの葉のお茶を飲んでいると、不思議と内なるエネルギーが湧く」と河浦さんは語る。
実際、たんぱく質分解酵素やポリフェノールが豊富に含まれる青パパイヤは、美容や健康面から注目を集めている果実なのだ。

2018年は、パパイヤへの挑戦3年目。2年目は1年目より大きく甘い実がたくさん獲れた。
パパイヤは9月頃から11月下旬まで収穫でき、収穫体験も行っている。
松崎町内のレストランでのメニューに取り入れられたり、JAなどと共同開発した青パパイヤゼリーも販売が開始されている。
パパイヤの力で、松崎の人たちが健康に美しくなっていって欲しいというのが、河浦さんの願いだ。

(年齢は取材時のものです)


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